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シヌとテギョン 『渇愛38』 美男ですね

2017–04–15 (Sat) 20:43

*―゚+.。o○*◇◇*○o。.+゚―**―゚+.。o○*◇◇*○o。.+゚―*




満月が、黒い布のような雲に巻き込まれる。

時間の観念を忘れてしまうような深い闇。

焼け落ちた家屋の残骸は、近づきがたい暗さが漂っていた。



───ひとつの人影に鼻歌・・・宗教音楽のような厳かな旋律に乗せて、一歩、二歩、三歩・・・と、歩が進められる度に、煤や粉塵が千切れた黒蝶のように舞う。

十八歩目。かつて作業部屋のあった位置で、人影は足を止める。そして、裏山の雑木林、庭石、古井戸・・・周辺の静寂を見渡すと、崩れ落ちたコンクリートを退かし、灰や砂土を靴底で蹴散らしていく。


───地面の中から現れたのは、人一人が通れる程度の隠し扉。


錆びた錠前を外した人影は、ギィーと物々しい音を立て扉を開ける。地下室にゆるりと身を乗り出して、何やら探すように首を伸ばした、が・・・途端に、動きが慌ただしくなる。手にしたスマホの明かりを地下室に向けて、底深く隅々まで覗き込む。それを何度も繰り返す人影の顔も照らされて・・・───

イ・テジの無表情に光る眼球が闇に浮かんだ。


そこに、

”ジャリッ…”

と、僅かな砂利の音・・・


「ぐは・・・っ!!」


振り向く間もなく、テジは脇腹に一撃を受けた。落ちた膝が地面につくと、灰があらゆる方向に飛び散る。


「う゛ぅぅっ、く・・・」


瞬く間に、煤まみれになったテジの姿を、重い闇の中から見下ろす人影が・・・。


「・・・だれ、だ?」

「ちっ、よりにもよってイタリアで仕立てたスーツじゃないか」


その中低音に、テジの目が大きく見開いた。



───・・・風が、真っ黒な雲を重たそうに引き摺っていく。

層となって重なり合う雲の向こうの、そのまた向こうの雲の奥から、満月が現れる・・・───

輝く金色の下、テギョンの口元が皮肉げに歪んだ。



「───・・・驚いたな。動けないようにしたのに・・・」

「注射器の中身、ハルシオン、レンドルミン、リスミー、その辺りか?」

「レンドルミンだよ。あのBARで使った媚薬に入れた分量より多めにした・・・ベンゾジアゼピン系の睡眠薬に耐性があるんだね?」

テギョンは、あえて返事はしないという意思表明のように冷笑を浮かべる。

長年、苦しめられた不眠症。睡眠薬を服用し続けた弊害が、最後の砦になった。薬で意識を奪い地下室に閉じ込めるのがテジの計画───けれど、その後早々に薬が切れることは、主治医でもなければ想定できないだろう。

それに、目覚める直前、不思議とも何とも形容のできない神秘的な光が見えた。あれが、神様の思し召しであったかは分からない。けれど、見えない力は存在する、そう思えた。



テジはゆらりと立ち上がって灰を払う。

「・・・睡眠薬は、僕の優しさだよ。ほら、神にだって祈ってあげただろ?地下室に有毒ガスが流れ込んでも苦しくないように、眠ったまま楽に逝けるようにってね。知ってるかな?一酸化中毒死は、肌が桜色になるって・・・すごく綺麗なんだ。───なんで生きてるの?」

「さぁな」

「鍵の掛かった扉を開けられたとしても、地上は火の海だ。逃げ道のない中をどうやって?」

「いちいち教えてやる義理はない。まだ勘違いしてるのか?お前はテサンではなく イ・テジ だ」

テギョンが言外の意味を重く含んでいるように声を響かせると、テジの冷たい顔の下から温度のない笑みが表れてきた。目は虚ろで、何かに魂を奪われたかのようだ。

「テサンでもテジでもないよ。今の僕は、ファン・テギョンだ」

「やはり10年前と同じ手口か。火事を利用して、人の人生を乗っ取る。どこまでもイカれた野郎だな」


テジの結んだままの唇に微かな笑いが浮かび───少しの間、沈黙が流れた・・・


「───再生だよ」


体温を感じさせない、冷気が含まれているような声───・・・


「僕が、テギョンさんになることにした。美しい肉体も、気高い心も、何もかもを再生させる。そうすれば、感情や感覚までも全て僕のもの・・・───僕の中で、テギョンさんは生き続けるんだよ・・・」


闇が、ひたひたと押し寄せてくる・・・テギョンは、ごくっと喉を鳴らした。と同時に、体の奥で武者震いのような戦慄が駆け抜ける・・・これは勇躍だ。その正体を知れば、恐れずに足らず。沈着冷静、臆することなく思考を続けた。

十年前にユン家が火事になったこと、その後にテジはテサンと入れ替わったこと・・・過去と今との複合的観点から、テジの目的は他者への成り代わりだと結論付けていた。動機については、様々な推測をしているが・・・。


───”倒錯的な愛” が引き起こした猟奇だろうか?


もしそうならば、テジはテサンにも好意を寄せていたという事になるが・・・それはなさそうだ。


───なんだろう。この違和感は・・・。


テジを形容すると、身勝手、エゴイスティック、一人よがり、独善的・・・そんな言葉が多く浮かんでくる。けれど、どれも的外れと思えた。テジの中には何もない、砂漠のように荒涼とした風景があるだけ・・・そう感じるのだ。なぜだろう、ほんの少しも人らしい温かみを感じないからか・・・。

テギョンはありったけの頭脳を回転させる。別に、テジを理解したいのではない。命を奪われる寸前までいった。お気楽に流せるレベルは、とうに過ぎている。有耶無耶なままで終わらせてなるものか。テジの底を知ることが、自分なりの決着だ。



テジの乱れた髪がばらばら風に吹かれる。

「テギョンさんが悪いんだよ。カン・シヌなんかに影響されるから・・・彼みたいなのが、一番厄介だ。何度キッカケを与えてやっても、付かず離れずではっきりしない。いっそ諦めればいいものを、グズグズと何をやってるのか。テギョンさんまで・・・」

バッと、右腕を素早く振ったテギョンの口調に怒気が混じる。

「黙れっ!お前に俺たちの事をとやかく言われる筋合いはないっ!!」

「嘘吐き」 

「なんだと?」

「どいつもこいつも・・・欲しいものを、なぜ取らない。誤魔化してないで、早く本性を見せろっ!」

テジは、カッと目を見開き、鋭い眼光でテギョンに飛び掛った。


その瞬間!!


遠い間合いから誰かの蹴りが放たれる───小気味よいキックの炸裂音がして・・・両脚をふっ飛ばされたテジは、派手に転んだ。









**********

ここでUPです。


m(o´・ω・`o)mペコリン

お待たせしてばかりで、ごめんなさい


三連休を活かして・・・

いえ、とうとう広告まで出ちゃったので、書き上がってる前半部分だけ更新しました


ただいま熱発中でして、纏まらない文章がさらに纏まらない←

またまたのんびりとお待ち頂けますようにお願い致します。


いつもありがとう(っ´∀`c)

コメントやメッセージ、足跡、ぺタに励まされております。

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真実はいつもひとつ

2017–03–15 (Wed) 10:31
皆さま。

おはようございます。

あゆグンです。


わ~ん、ごめんなさ~い・゚・(PД`q。)・゚・

『渇愛38』

まだ、書きあがりません


仕事がとか、家のことがとか、そーいったことは常の事なので、自分自身の時間調整をすればいいわけです。

で、ほぼ毎日、PCの前に30分くらいは鎮座しております。

なのに終わらないのは、どーにもこーにも、ボツの繰り返し中だからで・・・。


そう、『真実はいつもひとつ!』


私の力不足以外のなにものでもないです(_△_;)



マテリアルが重過ぎて、お話ではなく何かの説明文みたくなる度に・・・

『おいおい、どうにかしろ、私っ』

そんな声がずっと頭の中に響いてます(´。・ω・。`)


完全ボツな場面を、少し・・・



仁川に向かう多くの輸送トラックの間に、白色のヒュンダイ・ジェネシスクーペが一台混じっていた。トンネルに入ると、車内のものはみなオレンジ色のライトに照らされ、窓は男3人の鏡となる。シヌはアクセルを一定に保ち続け、バックミラーの中で髪の毛をくしゃくしゃとやるミナムへと視線を戻した。
 ・
 ・
 ・
シヌの顔を見るように、ミナムは運転席へ身を乗り出す。その動きにつられて、ジェルミも腰を上げた。が、まだ話しについていけなくて、二人の間を迷子のように行き来している。

シヌはバックミラーの中に、後方のトラック二台を入れた。
 ・
 ・
 ・
並走するトラックから荷台が崩壊したような激しい音が聞こえて、シヌはハンドルを握り直す。
 ・
 ・
 ・
 ・
 ・
視界が開け海が見えると、風の音が変わった。バックミラーの中に、今後にしたばかりのトンネルと曇り空が映っている。シヌはハンドルを切り、センター寄りの車線に割り込んだ。



この行、シヌがハンドル握る感じが素敵なんですよね←自分で言うw

抜いた会話部分は、今、別の場面にて登場人物を変えて書いております。


お待ち頂いてばかりで、本当にごめんなさい。

更新してないのにもかかわらず、遊びに来て下さって本当にありがとう。

どこまで書けるのか分かりませんが、コレというものが書けるまで書かせて下さいね。


ひたすら頑張ります。


あ、念のため。

気持ちが落ちてるわけではないので、大丈夫ですよ(笑)


ではでは。




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シヌとテギョン 『渇愛37』 美男ですね

2017–02–16 (Thu) 22:25
*―゚+.。o○*◇◇*○o。.+゚―**―゚+.。o○*◇◇*○o。.+゚―*


ガラス窓越しのベッド───包帯が幾重にも巻かれた顔に、テギョンの黒い双眸そうぼうが浮かんだ。ぼーっとして焦点が定まらず、脳細胞が起きてないように見える。意識が戻っても、まだ安心はできなかった。有毒ガスの吸引は、脳に重度の後遺症を残す場合があるらしいのだ。このまま夢と現実の狭間にいることになるかもしれない。

聴診器の先を睨み付けている医者の眉間に、深い皺が寄り始める。その皺は刻々と深くなっていくのを、シヌは固唾を呑んで見守った。ギョンセも、ジェルミも───・・・。

診察を終えた医師の言葉は、簡潔だった。

「身体機能に異常はみられません」

峠を越えたことに、三人は安堵と喜びの声を上げる。一体感そのままにICUに入ろうとしたが、許可されたのはまたギョンセ一人だった。

重篤患者との面会は親族のみ、というのは聞く話だ。その上 『疲れは禁物』 といわれては納得するしかない。だが、シヌは簡単には引き下がらず 『1分だけでも』 と面会を願い出た。

日常を一変させる事件の後、テギョンへの恋しさもひとしお、愛しくて会わずにはいられない、言葉で説明しがたい激しい情動に駆られている───と同時に、躯の底に小さな点のように生じた疑念が、しだいに大きくなっていた。

あの男のことを知っているようで、実は何も知らない。当然だ。”ユン・テサン” ではなく ”イ・テジ” という別人なのだから。どんなことを思い、どんなことに考えが至り ”ユン・テサン” になったのか。道徳心がなくなるほど人を追い込み破滅させてたのにも、動機や目的、理由があったはずだ。テギョンに近づいたことだって・・・あの男は思考の片鱗を一切残していない。


気持ち悪いを通り越して不気味だ。


死してなおも、その影が纏わりつく───終わったのに終わっていない、そう感じるのは、後味の悪い幕切れだからか・・・泥水が湧き上がってくるような、この焦燥感はどこから──。

テギョンに触れたかった。その顔が見られなくとも、その声を聞けなくとも・・・覚えている指先で、テギョンはここにいると感じられるから・・・。

───懸命に訴えたつもりだが、医者は一切聞く耳を持たなかった。横暴な振る舞いにすら思える『だめだ』の一点張りで。立ち去る間際に、看護婦にブラインドを下ろすよう指示をする。



ICUの扉に、面会謝絶の下げ札が掛けられた・・・。







********


冬の弱々しい陽光。コの字になった病院の中庭には、木々の間を縫うように遊歩道が設けられている。まだパジャマ姿の入院患者や付き添い人はいない。人影は二つ。ペンキのはげたベンチ付近にいるのは、シヌとイ・ソラだ。

そこから少し離れた通用門前から、ジェルミはじーっと二人の様子を・・・いや、正確には、ソラを複雑な表情で見ている。かれこれ、20分は経っただろうか。時計の針は、7時をまわっている。

───医者が立ち去った後、どこかへ歩き出したシヌを、ジェルミは追った。誰かを探しているとは思ったが、まさかソラだったとは。『顔を見たくない』 そんなような事をシヌは言って、ソラを突き放したはずなのに・・・。

「何してんの?」

ひょこっと、ミナムが現れた。寝ずの仕事を終えたばかりで、眠そうな目だ。

ジェルミの険しい眉が少し解ける。

「何もしてないよ。なんか嫌だなと思ってるだけ」

「嫌って・・・?」

不機嫌そうなジェルミの視線の先を辿り、ミナムは納得したように頷いた。ファンだと熱を上げていたソラの実兄がユン・テサン(イ・テジ)であることや、諸々の事情を知ったばかりだ・・・ジェルミが感情を持て余すのも仕方ない。

「シヌヒョン、なんであんな子と・・・何話してるんだろ?」

「まあ、色々とあるんじゃねぇの。彼女とは、もう会えなくなるだろうし」

「何のこと?」

「これが芸能界なんだろうな。彼女、今日付けで所属事務所から契約破棄されたらしいぜ。あんなにチヤホヤしてきた女優なのに、一瞬で手のひら返しだ。罪に問われなくても、しっかりと代償を払うことになった・・・神様は見てるんだよ」

ミナムの話し方には、何かしら引っかかるものがあった。大事なものごとを言い残したようなしゃべり方に思える。

「ね、ミナム、もしかして同情してるの?」

「んなわけあるかよ、当然の報いだろ。ただ、こうもあっさり見捨てられる人間関係が虚しく思えただけだ。俺も、気をつけないとな・・・」

ミナムの息は白く凍てつき、酷く寒そうだ。きっと、早朝の冷えた空気の中を革ジャン一枚でバイクを飛ばしてきたせい、なのだろうが───ミナムの心の温度に思えた。

「あのさ、俺は、どんなミナムでも見捨てたりしないよ?」

「───彼女と同じことをしたとしても?」

ふと、風に吹かれたようにミナムは表情を改める。それが何を意味しているのか、セブンスヘブンBARでの出来事を知らないジェルミには分かるはずもない。

「うん、ミナムだもん。もし、世界中がミナムの敵になっても、俺だけは味方でいられる。絶対だね。うん、断言できるよ」

何度も頷くジェルミの姿に、ミナムは肩を揺らす。

「くくっ、安い口説き文句だな~、もっとマシなのねぇのかよ?」

「もぉ~、すぐ茶化すんだから!俺はマジメに話してるの!」

「───分かってるって。だから、その内、ジェルミには話そうと思う」

「うん。ミナムが話したくなるまで、俺、待ってるね」

「おう」

今の心のさまを見通せるような綺麗な笑顔をミナムが見せてくれて、ジェルミは笑い返した。

その数分後に、シヌがコートの裾をあおるように歩いてくる。勢いそのままに、ジェルミとミナムに言う。

「イ・テジの真実が分かった。仁川に行く」

奮い立つようなしっかりとした声につられて、二人も歩き出した。







********


深夜のソウル総合病院。

夜間巡回の看護婦が立ち去ったICU───室内は、闇のベールで包まれていた。

スイッチを入れられたように不意に”テギョン”は起き上がる。迷うことなく胸元と腕のチューブを引き抜き、顔に巻きつけられた包帯を解く。すっとベッドを出て、クローゼットから取り出したスーツに着替えた。

そこに、担当医師がやってくる。

「大丈夫なのか?」

「ええ。10年前と同じように先生が上手くやってくれたので」

「こんなことは、もう終わりにしてくれよ」

「ははっ、面白いこといいますね。先生がいつもお困りなのでしょう?」

「・・・・・」

「開業資金は、アメリカから送金することになりそうです。先生が可愛がってる看護婦さんへの謝礼も一緒でいいですよね?」

「ああ、そうしてくれ」

目を伏せた医者を一瞥して、”テギョン”は裏口へと向かった。









**********

ここでUPです。


ひ~、ついて来て頂けてますかぁぁぁっっ???

もちろん、悪徳医師なのです←


『だから、愛とは言わない。』での、ミナムの秘密は、これで集約。

告解後のミナムとジェルミの姿は、読者様の中でご想像頂けたらな、と。


どっぷり『渇愛』で、『幸せの地図』に書く手が及ばなくて、本当にごめんなさい。

忘れてはおりません。

ラストまで書きますので、ご安心を。


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シヌとテギョン 『渇愛36』 美男ですね

2017–02–01 (Wed) 22:20
*―゚+.。o○*◇◇*○o。.+゚―**―゚+.。o○*◇◇* ○o。.+゚―*


朝の最初の光、灰青色におぼめく長い廊下───革靴の底が、リノリウムの床で短い音を立てる。
   
シヌは、右手側の自動販売機コーナーでコーヒーを3つ落とした。185gの小さなアルミ缶3本の熱量が、掌から全身にじんわりと拡がる。天を仰ぎ、細く長い息を吐いた。
    
───ブラインドに閉されたICUの窓。何が起きたのか知らされる間もなくて、テギョンの様子は一切分からない。看護婦に追い出されたギョンセの悲愴な面持ちに、心が膨らみ、揺れ、痛みに刺し貫かれた。

この父の想いは、きっとテギョンに届いているはずだ。そして、闇を照らす光となり導いてくれるだろう。そうあって欲しい。そうでなくては───だって、テギョンの念願が叶う目前なのだ。長年憂いてきた父との確執など、今なら事もなく消える。親子分かり合える瞬間が訪れるようにと、切に願った。


願い。

祈る。

それだけしかない。


どうにも出来ないことも、ある───という現実を受れてしまったら、どうにかなってしまいそうだ。手が震える。必死にアルミ缶を握った。そして頭の中で『大丈夫だ。大丈夫だ。テギョンは必ず戻ってくる』と何度も繰り返し、不安感を取り除いていく。

シヌは、一層強くアルミ缶を握った。

「───テギョンさんの容態は?・・・こんなことになって・・・どうしたら・・・」

か細い声は、ソラだ。

シヌは、ちらりと刺すような視線を向けた。女優にあるまじき目元のクマと化粧崩れが、昨晩の過ごし方を雄弁に語る。実兄が亡くなり、残された彼女は犯罪者の妹と呼ばれるのだ、ボロボロにもなる。

───彼女は、何もしていない、けれど、何もしないことを選択した・・・故意の傍観者だ。黒く冷たい感情が広がった。

「どうしたら、の後は?」

「え?」

「自分のことなのに分からない? ”どうしたら” の後に続く言葉が ”罪悪感は消せるのか?” だって。俺を助けたのもテギョンの心配をするのも、後ろめたさからだろ。君が考えることは、いつも自分のことだけだ」

「そ、そんなことっ、私は何もしてないっ!ただ、守りたくて・・・」

「そう、守りたかっただけなんだよな、アイツのことを。犯罪者でも、君にとっては肉親だから、アイツが何をしてても知らないふりをした。なあ、兄貴の為なら、他の人間はどうなってもいいのか?」

「違うっ、私はオッパを止めようとしてたわ。”変なことは止めて”  と、何度も懇願したの!」

ソラが声を張り上げるほどに、シヌに怒りがこみ上げる。アルミ缶が変形するほどの拳を作った。

「懇願した他に、何をした?」

「何って・・・」

「たった一言、警察に言えば止められただろ。なのに、君は見てただけだ。アイツを守りたかったなんて言葉で誤魔化すな。君が野放しにしてたから、アイツは罪を重ねた。君が、テギョンを傷つけたも同然だっ!」

「きゃっ、何するのよっ」

アルミ缶が宙を舞ったと同時に、自動販売機にソラを押し付けた。その顎を引き上げて、シヌは冷たい目の色でさげすむように見下ろす。

「俺は、君を許すことが出来ない。この傷ひとつない綺麗な顔・・・見られない顔にされる前に、どこかにいってくれ」

「・・・ぁ、・・・ごめんなさ・・い・・・、ぅ、う・・・」

ソラは、腰が砕けたように崩壊した。瞼に涙を滲ませ縋るように見つめられて、苛立った憤りがますますシヌの胸の奥に食い込む。女の常套手段など流せるはずなのに───本当に、心が疲弊している。

シヌは踵を返した。

「目障りだ。早く、消えてくれ」

「ま、待って!オッパの狙いは、テギョンさんだけじゃない。シヌさんもだと思うのっ!」

「・・・・・」

ピタリと、シヌは踏み止まる。確かに、一度は襲われ危機に陥った。けれど、テギョンから引き離すための策だったと思える。今が、その答えだ・・・。

涙を拭ったソラが続けて言う。

「今のシヌさんは、シヌさんじゃなくなってる。それが、オッパがこれまでしてきたことよ。ジュンギさんのことで分かるでしょう。オッパの思惑通り、彼は追い詰められて破滅した。私が言うことじゃないけど、シヌさんは、そうならないで───」

ソラの言葉は、合点がいくものだ。すでに、普段の自分では有り得ない自分になっている。このままテギョンを失ってしまったら、助けられなかったことを何度も後悔して、きっと最後は身を滅ぼす。それが、テジのもう一つの狙い───そう考えると、何かが導き出されそうな気がしたが、漠然とした大枠しか見えない。


───イ・テジの真実は、何なのだろう。


テギョンを手に入れたかった、それは間違いない。だが、無理心中を図って成し得たことは、テジ自身の死だ。生死の境を彷徨ってはいるが、テギョンは生きている。あの用意周到な男が、そんな失敗をするだろうか。


もし、全てが計算ずくな行動だったとしたら・・・。


頭の中で色々な思考を渦のように描いていると、ICUの方からジェルミの声が響く。

「シヌヒョンっ、早く戻ってきて!ヒョンが目を覚ましたよっっ!!」


呼び掛けが終わる前に、シヌは駆け出した。









**********

ここでUPです。


シヌ走ってばっかですw


今更ですが、シヌを書くのは難しいなぁ。

どかーんと、感情を爆発させるようなタイプではないから、場面に動きが出しにくい(。-`ω´-)ンー

テギョーン、早く戻ってきて~~~っっ


頑張ります!

ご訪問ありがとうございました☆



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不毛な日々でした(´。・ω・。`)

2017–02–01 (Wed) 15:35
皆さま。

こんにちは。

なかなか更新できなくて、ごめんなさい。


。・゚・(ノД`)・゚・。


やっと、です

あ、お話がではなく、私の愛用PCが直りました。

完全ではないけど、何とか記事を書ける状態にはなっています←


ここ最近、起動も入力も、遅~いっ(`ω´*)

書く手を邪魔されるのにイライラが限界で、キャッシュ消したり、ドライブの容量確保なるものをやってみたんです。

なのに、な~んも変化なし・・・さらに、ググりまくったのがいけなかった。

セキュリティソフトを別会社にすることにして、アンインストールとインストールを何回繰り返したことか・・・

悪戦苦闘しながらも、インストールが完了・・・が、解消されず・・・σ(・´ω・`;)


ここまでやって引けるかってことで、これまでのブラウザからChomeに乗り換えたんですよね。

も~、悪循環

知らなかったよぉぉぉっっ!!

Chomeだと、FC2で記事書くのに今までの画面が使えないって。


それに気がつくまでは、

お話し書けない・・・オロオロ(o;д;)oオロオロ・・・←こんな顔でした。


慣れないってことより、文字入力に問題ありありで。

文字入力してると行間が勝手につまったり、文字挿入すると初めにあった文章が一文字ずつ消えたり、何だかたくさん分からない現象が起きてます


精密機械に、

『こらぁぁっ、買い替えるぞっっ!!』

と、何度、煽り、威嚇、脅したことか・・・アホすぎです・・(;´д`)ノ| 柱 | 


PC音痴な私の話は、ここまで(笑)

お知らせを。
今日『渇愛36』を更新します。

ではでは、後ほどお会いしましょう!


待っていて下さって、ありがとう☆

あゆグン。




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こんにちは(*´▽`)ノノ
あゆグンです。
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